Q.

長期間筆を使わない時の保存方法は?

A.

乾いた毛先はそのまま放置すると虫に食べられてしまいます。展覧会で昔の作家の筆や刷毛が虫に食われてしまったいるのを何度か見たことがあります。長期間使用しない場合は、密閉された容器に防虫剤を入れてセロ鞘は付けずに保管して下さい。防虫剤は一般に販売されているもので大丈夫です。セロ鞘は防虫剤で変形することがあるので、使わない方が良いです。

Q.

筆の毛が抜けてきたのですが。。

A.

原因は2つ考えられます。1つは手入れによるトラブルです。使い終わった筆にセロ鞘をつけたり、筆洗に一晩筆を付けっぱなしにしたりすると毛が蒸れて抜けてきます。また濡れたまま筆立てに入れる等筆に悪い事を繰り返すと軸の中の糸が緩み、根っこから抜けてくることがあります。刷毛も同様です。これらは、上に記した手入れ法によってほとんどが予防できます。2つ目は、筆の中の焼き締めが緩い等の接着不良で毛が抜けてくることがあります。これはメーカー側の問題で安物の画筆で時々見かけます。弊社の筆や刷毛で何かありましたら修理が可能ですのでお申し付けください。

Q.

良い筆が欲しいのですが。。

A.

良い筆という定義はなかなか難しいかもしれません。高いから良いという物でもありません。同じ種類の筆、例えば削用であれば形状は似ていてもメーカーによって筆の材質や仕立ては大きく異なるので、良し悪しはあります。それを見抜く方法としては筆の形状や上毛(周りに巻いてある毛)の汚れ具合等は一般の方でも判断がつくかもしれません。明らかに毛が一箇所に固まっていびつな形をしていたり、毛先に1本だけ長い毛が出ていたり、上毛が汚れていたり。そういった筆はその中身も期待できません。
ただ、一番大切な事は用途に合った筆を知る、見つけるということだと思います。コシが強い線描筆が欲しいと思って天然則妙(含みがよく柔らかめの筆)を手にとっても御手に合わないでしょう。点描をしたいのに長穂の尖った面相では難しいはずです。このサイトでは筆それぞれの特性が少しでも伝わればと思って制作したものです。ご不明な点があればメールにてお問合せ下さい。

Q.

細い線が引きたいのだけど。。

A.

細い線を引くためには、面相や蒔絵筆は勿論適しています。例えば狼狸面相の別小、抑揚のある少し長めの線ならコリンスキー毛描、連続する線なら得寿や胡蝶、硬質な線なら長穂白狸面相や特製蒔絵筆等それぞれ細い線にも種類はあります。ただ、面相筆、蒔絵筆は含みがそこまで多くないため、息の長い線を引くことはできません。骨描等抑揚のある長い線を引きたい場合は快や応手、白毫のような非常に鋭い円錐形の線描筆をコントロールできるとそれが可能になるかもしれません。

Q.

1日に筆は何本位できるのですか?

A.

当サイトの製造工程に記載の通り、筆作りには非常に長い工程を要します。原毛の状態から筆が出来上がるまでは数か月は掛かります。その長い工程を同時平行で進めていますので、1日に300本筆が仕上がる時もあれば、1週間ずっと下仕事をしている時期もあります。

Q.

ドーサに使用した刷毛が絵具をはじくようになってしまったのですが。。

A.

ドーサ液に浸した筆や刷毛は絵具をはじいたり、含みが悪くなったりします。ドーサに使用するものと絵具に使用する刷毛や筆は分けて下さい。

Q.

筆や刷毛の穂先が短くなってきた気がするのですが。。

A.

筆は消耗品です。特に日本画の場合はサンドペーパーに描いているようなものですので、当然穂先は摩耗して短くなっていきます。ただ、良質の筆は少し先が減っても用途があります。例えば応手のような線描筆でしたら、最初はここぞという線描に使用し、少し減ってきたら細部の彩色筆として活躍します。祖父が「長流は最初は線描、付立に減ってきたら彩色、そして隈取、まだ使いたかったら先を切って砂子筆にでもしなさい」と言っていたそうです。筆の性質を知り、しっかり手入れをすれば他の用途でも役立つ所があるかもしれません。

Q.

水彩絵具やアクリル絵具、油絵具にも日本画筆は使えますか?

A.

水彩、アクリル絵具等の水性の絵具には日本画筆は非常に適しており、全種が使用できます。また油絵具もイタチやコリンスキー、狸が主原料に記載の面相筆は使用できます。商品紹介の「水彩・アクリル向け」「油絵向け」の筆を選びましたのでそちらもご覧下さい。