2020.12.17
作家さんとの交流&展覧会工房風景
書筆と画筆の違い
「書筆と画筆の違いは何ですが」と聞かれることがあります。
軸(竹、木、プラ等)に獣毛の穂首をすげるという点では同じです。
2つ大きく異なる事があります。
1つ目は紙巻筆の記事で触れたこととも少し関連があります。
それは画筆は穂首全体を下ろして(水に浸けて)使用するのに対し、
書筆の中には穂先だけを下ろす筆が一定数あるという事です。
これは穂先だけを下ろして使う紙巻筆の歴史が長かった事とも
もしかしたら関りがあるのかもしれません。
2つ目は種類の多さが違うという事です。
書筆は大筆、中筆、小筆という大分類で分けられることが多いですが、
画筆、特に日本画筆の場合は
面を塗るための刷毛、連筆、平筆、
骨書き等のための線描筆
没骨法、運筆のための付立筆、
極細の線描、細部の彩色のための面相筆、蒔絵筆
点描のための点描筆
彩色筆、ぼかし用の隈取筆
といった具合に非常に細かく細分化されています。
これは作品から逆算すると少しイメージが湧くかもしれません。
書道の作品を1枚仕上げるのに筆を5本も10本も持ち替えるという
ことはまずありえないと思います。
しかし日本画1枚を仕上げるのには、様々な場面毎に筆を持ち替えて
制作していきます。
日本画筆の付立筆で書道を書いたり、白毫のような線描筆で写経やかな書きを
行うという話は聞きますが、書道筆だけで日本画を完成させるのは
難しいと思われます。