2021.11.09
お知らせ作家さんとの交流&展覧会
美術大学での筆講義について

※トップ写真は日本画家 髙橋まり子様が刷毛へ絵付けをした作品です。
髙橋まり子様は女子美術大学をご卒業後、個展や創画会(第48回創画会賞受賞)等
を中心にご活躍されている日本画家です。
毎年、各美術大学にて筆講義をさせて頂いています。
今月は東京藝術大学と武蔵野美術大学での講義があるため、
筆講義の概要について、ご紹介致します。
主に日本画科の学生を対象に講義を行っています。(油画科、芸術学科等も実績有)
講義の内容としては
1.筆の歴史や製造工程について
スライドを使ったり、私がデモンストレーションを行い、
筆の歴史や原毛、製造工程をご説明します。
↓今月の講義の筆作りの実演のために現在準備している彩色6号です。
当日は毛組(デザイン)の説明から練り混ぜ、芯立て、糸掛け、焼き締め
等の筆制作のハイライトをお見せします。(筆制作詳細はこちら)
2.刷毛の制作実習、刷毛板への絵付
絵刷毛の最後の製造工程の「刷毛綴じ」を学生に体験してもらい
出来上がった刷毛は差し上げます。
学校によっては、応手や胡蝶等の人気の線描筆や面相筆を制作する
こともあります。
出来上がった刷毛には、後日絵付けをして漆塗りする事が出来ます。
↓今月の筆講義のために、数週間前から準備した絵刷毛2寸の
毛板です。
近年筆講義のご依頼を頂く機会も増えており、なかなか刷毛制作は
準備が大変なので、刷毛ではなく筆の制作実習が増えるかもしれません。
↓檜で作った刷毛板です。
刷毛作りだけでも、刷毛板加工、毛板制作、三味線糸等の様々な道具を用いた
刷毛綴じ、清晨堂では本漆の塗布等も行うため、非常に長い時間を要します。
↓刷毛板に絵を描くための滲み止め
先日レジンドーサ(中性ドーサ液)を塗って、絵を描く際に滲まないように
事前にひと手間掛けています。
↓絵付けをして刷毛に本漆(拭き漆)塗りを行い、自分だけの絵刷毛が
完成です。
この写真は高橋まり子様がサルビアという花を描いた作品です。
漆塗りは富山の非常に腕の良い漆職人に塗ってもらっているので
仕上がりも大変綺麗です。
大事にし過ぎて制作に使わない生徒が多いそうですが、道具ですので
制作にどんどん使って頂きたいと思っています。
3.残った時間で弊社の筆、刷毛を自由に使って試し描きを行って頂きます。
最後に筆のお手入れなどについてもご説明しますが、筆や刷毛の構造を知って
頂く事で、手入れの仕方も自ずと分かって頂けるかと思います。
現在明後日の武蔵野美術大学日本画の講義に向けて、原毛や様々な道具を
コンテナ5個口に梱包し、本日発送予定です。
↓長年使用してボロボロになってきたコンテナ達です。
学生達にとっては1回きりの筆講義となりますので、喜んで頂けるよう
数週間色々と準備して参りました。頑張ってきたいと思います。
久しぶりのブログ投稿をご覧頂きました方、ありがとうございました。
清晨堂
阿部悠季