2020.12.04
工房風景
筆工房風景 筆作りに大切なこと その3「技術②」
筆作りの工程の中で最も大切にしているのは宮内得応から伝わる「毛組」(けぐみ)です。
トップの写真は線描筆 応手の毛組です。
毛組法とは、様々な種類の原毛を組み合わせて、筆の形をデザインしていく工程で
品質を最も左右する工程となります。
宮内得応より口伝で伝わる原毛の組み合わせ、また10数層に毛をずらしながら
作っていくと、滑らかな筆の形となり、描き味が良くなります。
↓彩色6号毛組
例えば彩色筆6号だと、真ん中の一番長く、黒い部分(「先出し」や「命毛」と
呼ばれます。)は良質の天然原毛、白狸・黒狸・山羊胴毛をあらかじめ
混ぜておきます。
そのあと10数層にわたって山羊尾毛、山羊胴毛、馬尾毛、鹿毛等をつけていって
筆の形をデザインしていきます。
長流、削用、天然則妙等それぞれの毛組の仕方を習得するのには非常に時間を
要しますし、その時々ある原毛をうまく組み合わせて、数字には表せない
細かい感覚で形を計算していきます。
この方法ですと、量産することは難しいですが、安定した品質の筆が
出来上がります。
現在はコシの強い筆が欲しいという方が多いので、以前よりほんの少しコシを
強くしたり、応手や胡蝶、得寿、竜爪のようにコシの強い新たな筆を開発したりもしています。
↓天然則妙 毛組