2020.12.07

工房風景

筆工房風景 筆作りに大切なこと その4「精神」

ものづくりをしている者にとって、当たり前のことですが、、

「誠実に、丁寧に作る」

という精神が非常に大事だと日々感じています。

「1本いくら」という賃仕事で筆を作る仕事をしていたら
「少しここは手を抜いてもよいか」と思う人が必ず出てきます。
筆作りのように工程が長く繊細な仕事においては
「ここだけはいいか」と妥協した1つの工程で全行程が台無しに
なってしまうことがあります。

また、一つ一つの工程が丁寧なのか、やっつけ仕事なのか。。
それが積み重なると最終的にできあがる完成品は全く別物になります。
以前、中国の、大人数で筆を量産している工場を見に行ったことがありますが、
これでは品質が安定しないし、良質の物は出来ないと感じました。
完全な分業制で責任の所在が分からないですし、工程全体を管理出来る
人もいないからです。
国内の筆屋においても、穂首、軸、接着、仕上げと分業制にしている所が
ほとんどです。

清晨堂では筆、平筆、刷毛から連筆迄、原毛の選別から上仕事、
下仕事、軸の仕立て迄全ての工程を工房内で行っています。
工房内で全ての工程を把握し、目が行き届く事で品質は安定します。

職人の高齢化も進んでいましたが、現在は世代交代も進み、10年以上
働いてくれている私の幼馴染をはじめ、新しい職人の育成も進んでいます。

祖父は「品質で勝負しろ!売り歩くな」
とよく言っていたそうです。

本当に当たり前の事ですが

「誠実に、丁寧に作る」

という事を忘れず、日々の制作に取り組んで行きたいと思っております。

 

 

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