2021.01.11

工房風景

刷毛の品質はどこできまるのか?②

勿論まず大事なのは原毛の品質ですが、刷毛板も品質、また特に
耐久性(刷毛の寿命)には大きく関連してきます。

トップの写真は刷毛を横から見た写真です。
上から
①廉価水刷毛(他社製品)
②弊社絵刷毛(漆塗り前)
③弊社絵刷毛(漆塗り後)

となります。

↓①廉価水刷毛をアップにしてみます。

 

①廉価水刷毛は刷毛板が穂先から下の方まで、ノコギリで
厚く引かれていて、非常に空洞が大きいことが分かります。
つまり、毛を挟みこむ力が弱い事を意味します。

↓②弊社絵刷毛(漆塗り前)をアップにしてみます。

 

②弊社絵刷毛(漆塗り前)の横からの写真を見てみると
毛板を入れる部分にだけ、ノコギリで引いて空洞を作ってあり、
ノコギリの先の部分はナタで割ってあります。
(空洞の先に薄く線のような物が見えるかと思います。
 これがナタで割ってある部分です。)
このような仕立てにすると、刷毛板の毛板を締め付ける力が増し
脱毛を防ぐことに繋がります。

ノコギリで空洞を作ることを「引き」と呼び、
ナタで割ることを「割り」と呼びます。
つまり、①水刷毛は「引き」のみで仕立てられ、
②弊社絵刷毛は「引きと割り」の仕立てとなっているという事です。
「割り」の際にダメになってしまう刷毛板もありますし、手間も
増しますので、刷毛板の単価も当然「引きと割り」の方が高くなります。

まず毛板をしっかり挟み込む力が増す→脱毛が減る
という特徴がありますが、これ以外にも色々と「引きと割り」の
メリットはあります。
次の記事でまた触れていきたいと思います。

※以前、刷毛制作の工程の一部をブログでも紹介致しましたので
ご興味がある方はこちらも宜しければご覧下さい。

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