2021.01.15

工房風景

刷毛の品質はどこで決まるのか?④

最後に漆の効果について説明致します。

弊社刷毛は全商品、本漆の仕立てとなっています。
ドーサ刷毛特製狸毫絵刷毛は拭き漆(茶)
絵刷毛夏毛絵刷毛唐刷毛金泥刷毛は木地溜漆(黒紫)
特製絵刷毛は黒漆(黒)
の仕立てとなっています。
人工漆やカシューより、見た目は勿論、本漆の方が堅牢です。
刷毛の塗装に使うなら断然本漆だと思います。

漆で塗ることにより、見た目の美しさ、フィット感の向上は勿論ですが、
刷毛の耐久性(寿命)は飛躍的に伸びます。

↓本漆塗布後の弊社絵刷毛の横からのアップ写真

 

写真の通り、接着剤を塗った毛板の部分が完全に保護されているのが
分かります。(接着剤塗布については前の記事をご覧下さい。)
刷毛の脱毛はメーカーの仕立てによる不具合による脱毛もありますが、
長く使用している中で起きる脱毛は、毛板の根っこ部分に塗った
接着剤の効きが悪くなった時に発生します。

↓廉価水刷毛、アップ写真

 

上の塗装していない水刷毛を長く使用していたら、毛板の元に塗った
接着剤はどうなるでしょうか?
制作の度に、接着剤にジャブジャブと水等があたり、だんだんと接着剤の効果が
下がり、
脱毛が始まっていきます。

一方漆で塗った刷毛は、刷毛板の脇を完全に塞いであるので、接着剤を塗った箇所が水や絵具に当たらないように保護され、接着剤の効果が何倍も長持ちします。

このように刷毛板の「引きと割り」の仕様から、本漆塗りまでの工程を丁寧に
行う事で
刷毛の寿命は何倍にもなります。
懇意にしている作家の方から刷毛を何年、何十年と愛用して下さっているお話を
伺うと大変励みになります。

最後に使った刷毛は吊るして、重力で水分を下ろし、乾燥させます。
これは毛板の根っこ部分に水を溜めない→接着剤の効果を持続させ

脱毛を防ぐ!という大切な意味があります。
次回使用する際はなるべく完全に乾いた状態にして、優しく、軽く
毛先から金櫛を掛けてあげてください。
(本当に軽くで大丈夫です。力任せにやると逆に穂先を痛めます。)
毛の癖も真っすぐになり、
前回制作の際の岩絵具等との摩耗による切れ毛を
除去できるので、
画面からピンセットで毛を拾う事も大分なくなるかと思います。

 

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